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新・なまず日記


2010-07-01 [木]

_ [日本酒] 秋鹿 純米吟醸 槽搾直汲




秋鹿純米吟醸無ろ過生 例えば、例えばだよ。

例えば、あなたが、初めて男(女でも可)とつきあったとする。

その男(女でも可)はテレビにもよく出てるし、有名で、いかにも良く見えたわけだ。
ところが、何だって、つきあって見なきゃわからないことは沢山ある。
見た目とは裏腹に、実はヒドく性格の悪い奴で、ヒドい目にあわされたとしようじゃないか。

すると、あなたは、こう思うわけだ。

男(女でも可)なんて、もうコリゴリだ、と

しかし、それは愚かな考えというものだろう?
その、テレビによく出てる奴が最悪だったってだけの話。
もっとよく探せば、最高の出会いがあなたを待っているのかも。


なんの話だって?日本酒の話なんだよ

テレビに出てる(テレビCMを打ってる)日本酒というのは、たいてい、本当にヒドい。
ヒドいんだが、テレビCMを見た後にスーパーに行けば、普通に、それが置いてある。
あ、テレビでやってたアレか、と思い、買ってきて、飲んでみて、あなたは、こう思うわけだ。

日本酒なんて、もうコリゴリだ、と


もうずっと長い間、日本酒は、サイアクなものが最も売れるという、恐ろしい状況に陥っている。あなたが日本酒嫌いになるのも無理はない。

しかし、探せばイイ男(女でも可)は絶対に見つかる。

あなたの初めて男、おっと、日本酒が、秋鹿酒造さんのものであったならば、あなたはきっと、日本酒ってなんて素晴らしいんだろうと思うことだろう。
特に、この、無ろ過にして火入れ(パスツール殺菌)なしのホンモノの生酒「純米吟醸 槽搾直汲」だったならば。

私は何人もの会社の同僚、特に「日本酒はコリゴリ」と言う連中に、コイツを飲ませてきた。飲むと、誰もが言う。え!?これが日本酒!?と。


まず、開栓の瞬間から胸踊るはずだ。本物の生酒ゆえに、酵母が活発に活動しており、瓶の中は炭酸ガスでパンパンだ。親指で栓をジリジリと持ち上げると、ポンとハデな音がして栓が宙を飛ぶ。まるでシャンパンではないか。

口に持っていけば、果実のような芳醇な香りが鼻をくすぐる。しかし、鼻につくほどきつくは香らない。さぁ一口飲んでみてくれ。爽やかな酸味と舌をくすぐる炭酸のチリチリとが、上品な芳香とあいまって、なんとも言えない爽やかさをもたらしてくれるはずだ。まるでなにかのジュースを飲んでいるような気分。しかし、なんの果物のジュースに似ている、などとは、決して言うことができないだろう。存在しない果物のジュース。想像上の、想像しうるもっとも清らかな果物のジュース。例えば、桃源郷で育てているという不老不死の果物、仙桃のジュース。言い過ぎだって?冗談じゃない。オレはお酒の話をしているんだぜ?多少の誇張は胡蝶の夢と思ってもらわなきゃ、いい酔い心地にはなれないぜ。

しばし、舌の上で転がす。酸味の裏に、甘味や旨味が隠れていることがわかるだろう。たまらず飲み下すと、口から鼻へ、素晴らしい香りが流れると同時に、わずかな渋みを舌の 奥に残す。しばし陶然となるうちに、その余韻も儚く消える。次の瞬間、あなたもこう言うはずだ。え!?これが日本酒!?と。


華やかで、爽やかで、しかし決して軽薄ではない。まるで日本酒の良心のような一本。ホンモノの生ゆえに、季節的に既に入手は困難だと思う。もしこの駄文がアナタの心に残ってくれたならば、来年の1月になったら、探してみて欲しい。
見かけだけの最悪の男、おっと日本酒、に傷ついたアナタの心を癒してくれるに違いないのだから。そして次の恋、じゃなくって次の日本酒を探しにいく勇気を与えてくれるに十分な働きをしてくれることだろう。
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