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新・なまず日記


2005-04-16 [土]

_ [映画]エル・トポ

エル・トポ

アレハンドロ・ホドロフスキー
1971年
メキシコ

荒野のガンマン、エル・トポは、自らを「神」と呼ぶ、超人的な鉄砲打ち。息子を連れて砂漠をさまよい、山賊を倒して生きる。ある時、山賊から助けた女にそそのかされ、世界最強のガンマンとなるべく、砂漠の達人4人を倒しにいくのだが...というお話。

(ネタバレ防止のための改行)






































































なまずの評価 85点

見てはいけないものを見た気持ちになった。禁断の寓話。

驚異的な映像に脳髄をやられる、極めて感覚的、体験的な映画。脳をレーザーで焼かれるような、強烈な印象を受けます。見終わって3日は余韻が消えないでしょう。好き、嫌いはあるにせよ、とにかく印象的な映画です。

エル・トポが連れている息子は、テンガロンハットを被ってあとは何故か素っ裸。冒頭、エル・トポは、息子に、「お前は7歳になった」、お母さんの写真とおもちゃを砂に埋めさせます。砂に埋まった写真を後に、馬で去っていくエル・トポと息子の後ろ姿...すごくイイシーンです。最初から、映画の世界に引き込まれてしまいます。

無敵を誇るエル・トポですが、山賊から助けた女にそそのかされ、あっさり息子を棄てて、女と砂漠に旅立ちます。女は悪女で、世界最高になるには、砂漠の達人4人を殺さなければ、とエル・トポに焚き付けます。

二人で一人 砂漠の達人のうち、 最初の一人はヨガの先生のような男です。この先生には二人の弟子がいるのですが、でも、実は一人というか...つまり、 手のない男が、足のない男をオンブして生活しているわけです。 台湾のカンフー映画「ミラクルカンフー阿修羅」も、そういうコンセプトの映画ですが、あの映画はそれだけで映画一本引っ張ってるのに、エル・トポの場合、まるであたりまえのようにこの二人を映し出しています。第2の達人は何故か ライオン を飼ってるし、この場合も、あたりまえのように、そこに、ライオンがいるわけです。まったく尋常でないキャラを出しておいて、無感情に撮る。このやり方は、寓話や神話のような、この映画の雰囲気をいやがおうにも高めるのに成功しています。シーンやカットはまったく平坦なのに、そこにとんでもないものが映っている。これはクセになります。 ライオン

エル・トポは卑怯な手を使って、達人を3人まで倒したのに、4人目を倒すことができません。なぜって、4人目の男は本物の聖者で、マトリックスのように、拳銃の弾をよけることができるのです。それなのに、「わしの命なんかに意味はない、そんなに欲しければくれてやる」と言って、自ら死んでしまいます。自分の罪深さを知ったエル・トポは、女にも裏切られ、傷つき、砂漠に捨てられます。もはや死を待つのみになったエル・トポを、地底にすむ不具者の集団が拾い、自分たちの神として祭ります。やがて、奇跡的に復活したエル・トポは、ガンマンとしての自分を捨て、残りの人生を不具者たちのために生きることを誓うのでした。

体の不自由な不具者たちのほとんどは、地下の洞窟から外に出ることができません。エル・トポは、彼らのために、単身、洞窟から町に出るためのトンネルを掘ってやることにします。小人の女と一緒にピエロの大道芸をやって工事資金を稼ぎ、身を粉にしてトンネル掘りに精を出します。ついにトンネルが開通!そのとたん、エル・トポの静止も聞かず、不具者たちは歓喜の声をあげて一斉に町に出てしまいます。

大量の不具者を見て肝を冷やした町の人は、あろうことか、不具者を大虐殺します。怒りと自責に震えるエル・トポは、ガンマンだった頃の超人的な力が復活、たった一人で、町の人を全滅させます。すべてが終わった後、焼身自殺を遂げるエル・トポ...

非常に感動的なラストシーンですが、やはり、あまり感情をこめずに、淡々、坦々としたカットを重ねてエンドロールまで運んでくれます。ひょっとしたら、監督のテクニック上の問題で、感情移入を誘うような、効果的なカットが撮れなかったのかもしれない。しかし、結果的には、それが、この映画を、まるで神々の営みを記録したかのような、神々しささえ纏わせるものにしたのです。この、近寄りがたく、不思議な不思議な物語。見終わったあとは、巨大な余韻が残ることになるでしょう。

同じ監督の作品に、「ホーリー・マウンテン」があります。こちらもお勧めですが、どちらか一つ、と言われたら、やっぱり「エル・トポ」かなぁ。日常から脱出したい、トリップしたい方は是非どうぞ。

本日のツッコミ(全1件) [ツッコミを入れる]
_ なまず (2008-09-21 [日] 09:24)

自分ツッコミ。<br><br>「しょこたんぶろぐ」を読んでたら、しょこたんの神映画の一つが、「ホーリー・マウンテン」なんだそうだ。<br>中川翔子、あんた、いったいどこまで貪欲なんだ?<br>ホドロフスキーの映画が好きって...22歳のギザカワユスのあんたが....70年代のLSDまみれでラリラリでドロドロの映画が好きって...<br>なんて素晴らしい世の中なんだ!

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