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新・なまず日記


2005-04-05 [火]

_ [映画]映画感想文

新ネタを書くには時間がないので、以前、映画の感想文のサイトを開こうかと思っていたころに書き溜めた文章をボチボチと載せていこうと思います。
評価点は、100点満点で、以下の方針に基づいています。
100〜80   とてもおもしろい。傑作
 79〜60   まぁまぁおもしろい。合格
 59〜40   あまりおもしろくないが、見るべき点はある
 39〜20   つまらない。何も評価できない。時間の無駄
 19〜 0   ヒドすぎて逆におもしろい。ヒドさが評価できる

_ [映画]あずみ

北村龍平
2003年
日本

徳川が主権を握ったとはいえ、まだまだ下克上の気配がくすぶり続けている戦国時代の末期。反乱の芽を刈り取る刺客を育てるべく、ある隠れ里では、まだ幼児のうちから孤児を集め、あらゆる武術の教育が施されていた。一人前の刺客として成長したあずみ達は、初めて隠れ里から世界に出て、暗殺の使命を果たしていくのだったが...というお話。

(ネタバレ防止のための改行)






































































なまずの評価 40点

上戸彩もオダギリジョーもがんばってるのに、ヘボいシナリオのせいですべてが台無しになった可哀相な映画。

小山ゆうの漫画「あずみ」の実写映画化です。漫画では、あずみは、異人の血をひく美少女剣士ということになっていますが、この役に、上戸彩のちょっとエキゾチックなルックスがピッタリとはまっています。体型もちょうどよく、マント姿が良く似合います。本当に漫画から抜け出したみたいです。

アクションの方も、うまく上半身だけ写したり、カットを工夫したり、CGを使ったりすることで、なかなか見せるものとなっています。カットのおわりの方で、一瞬だけやたらとフニャフニャした動きになったりすることもあってハラハラもしますが、トータルでは合格というものでしょう。セリフも棒読みなところもありますが、まぁまぁOK。 こんなかわいい女の子が、血まみれで刀を振り回すのですから、細かいところは大目にみるべきです。タップリ血糊をあびたあずみ(上戸彩)が敵の首をブッた斬るところなど、背筋がゾクゾクするほど素晴らしいです。

仇役の変態剣士、最上美女丸はオダギリジョーです。この剣士、凄腕なのですが、死にかけの人をいたぶるのが大好きというサディストで、この役を、オダギリジョーは、ヒステリックな甲高い声で好演しています。これまた漫画のイメージそっくりで、原作ファンとしてはうれしくなります。

このように、俳優陣はなかなか頑張っているのですが、肝心のシナリオがいただけません。もともとあずみは、冷酷な殺人マシーンにして、菩薩の心を持つ美少女という、難しいキャラクターであり、このキャラを創造するために、漫画では、沢山のエピソードと長い時間をかけています。それを、わずか2時間の映画におさめるという時点で、大変不利な勝負をしなければならないのに、そこのところがシナリオ作者は全然わかってない。

あずみを特徴づける重要なエピソードとしては、やはり、初めての殺人を、仲間同士に対して行うというシーンを欠かすことができません。まだ12,3歳くらいのほとんど子供のあずみ達は、隠れ里での刺客教育の総仕上げとして、教育係の「爺」に、兄弟同然で暮らしてきた仲間達で殺し合いを命じられます。まだ、うまく自分の気持ちを言葉にできないほんの子供の彼らは、なんだかわからぬまま、この不条理を必死で受け止めます。あずみが殺した相手、「なち」は、なにかいいたそうな表情を浮かべたまま、黙って死んでいきます

映画でも冒頭、このシーンがあるのですが、子役を使うと上戸綾の出番がなくなると思ったのか、子供のはずのあずみ達が、みんな、立派なお兄ちゃんお姉ちゃんです。配役上の制約でやむを得ないことではありますが、せめてシナリオで子供を演出するくらいのことをやればいいのに、結果はその逆。「なち」は、死ぬ間際にペラペラとしゃべくり、形見の品を渡したりします。子供がこんな器用なことする?これはどう見ても大人のやることです。このせいで、子供の教育のはずのこの試練が、単なる理不尽な殺し合いに見えてしまう。原作を読んでいない人にとっては、「爺」の意図がまったく理解できないでしょう。

映画の「爺」の不可解さは、後半、さらに決定的になります。爺が育てたのは刺客であり、暗殺者集団のはずなのに、なぜか、加藤清正を殺すのに、居城の正面から襲撃をかけます(こんなエピソードは原作にはありません)。こんな戦い方じゃ、人数が多い方がいいに決まっています。じゃぁなんで、冒頭、大切に育てた刺客のメンバーを殺しあいさせ、人数を半分に減らしたのか、まったく理由がわかりません。おまけに人数が少ないのに無理な襲撃をかけたもんだから、捕まり、人質になってしまいます。バカ丸出しです。漫画の「爺」は、こんなバカなことは決してしてないのに!

あずみが不条理に耐え、刺客としての運命を背負って生きていけるのは、尊敬する「爺」に育てられたからなのに、映画の「爺」は、思いつきで命令するだけの、世話の焼けるバカ親父に仕上がっております。こんな親父に育てられたんじゃぁ、あずみが凄腕の刺客だということも、納得できなくなってしまいます。これでは、いくら上戸綾ちゃんががんばっても、決して報われません。つまり、映画そのものが破綻しています。このシナリオの欠陥に、どうして気づかないのでしょう。

欠陥といえば、美女丸のオダギリジョーは、「飛猿」という忍者のことを、間違えて、「猿飛」と呼んでいます。誰かチェックする人はいなかったのでしょうか。詰めが甘く、だらしがない印象を受けます。どうせわかるわけないやと、観客をなめているのではないでしょうか。映画への信頼を失わせるような行為はやめていただきたいものです。本当は最低点をつけたかったのですが、上戸綾ががんばっているので、40点としました。この映画のスタッフ、特にシナリオ担当は、上戸綾ちゃんと、もちろん観客に対して、だらしがない仕事をあやまるべきたと思います。

続編(あずみ2)がもうすぐ公開ということですが、楽しみでもあり、心配でもあり...でも、上戸綾ちゃんががんばってくれるのなら、やはり観てみるのがファンの義務というものですね。






(05/9/15追記)
本エントリに、事実誤認がありましたので、訂正いたします(エムさん、ご指摘ありがとうございました)。

映画の美女丸が「飛猿」のことを「猿飛」と読んでいたことを指摘し、それが映画製作スタッフのミスであるとして、「詰めが甘く、だらしがない印象を受ける」としておりましたが、これは、まったくなまずの勘違いでした。

原作コミックの5巻(脱出)の153pに、以下のような会話があります。

美女丸:出ておいでよ!!ずっと見てたんだろ、猿飛(さるとび)。
飛猿:猿飛じゃなくて飛猿(とびざる)だ...

原作でも、美女丸は、(飛猿をバカにして?)猿飛と読んでいたわけです。つまり、映画は、このエピソードに忠実だったというわけで、スタッフのミスという私の指摘は、まったく的外れなものでした。勘違いで根拠のない批判をしてしまい、関係者各位にご迷惑をおかけしたことを、深くお詫びすると同時に、訂正をさせていただきました。本当に申し訳ありませんでした。

しかし、上記のミスを訂正しても、本エントリの骨子(映画"あずみ"はシナリオが破綻している)は揺らぐものではないので(原作を読み返してますますその思いを強くしました)、そのまま掲載を続けさせていただきます。

今後とも、なまず日記におきまして、誤記、誤解等がございましたら、是非ともご指摘くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]
_ エム (2005-08-10 [水] 04:17)

はじめまして。<br>もうご存知かと思いますが、コミックの中でも美女丸は飛猿のことを(猿飛)と呼んでおりました。<br>映画は間違ってはいないと思われます。いまさらながらとは思いましたがちょっとお知らせ。

_ なまず (2005-08-10 [水] 22:45)

エムさん、コメントありがとうございます。<br>え?美女丸って、コミックでも間違えてました?<br>それはうっかりしていました。<br>確認した後、訂正いたします。ご指摘ありがとうございました。

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